

こんにちは、mr-chickenです。
宅建業法では買主を保護するために、8種類の特別な規制が設けられています。どのような内容で、どのような場面で適用されるのでしょうか。今回はその中から「損害賠償額の予定等の制限」と「手付の額の制限等」の2種類について紹介します。
1. 8種制限の概要
1-1. 8種制限って何?
宅建業法に規定されている 8種制限がどのようなものか知っていますか。宅建業法の勉強が進んでいる方は、当然の内容かもしれません。念のため、おさらいを兼ねて紹介します。
8種制限が登場するのは、売買契約の際に売主が宅建業者で、買主が一般のお客さんだった場合の話になります。取引のプロである宅建業者と取引の素人であるお客さんとでは、宅建業者に有利な契約となる可能性があります。そのように弱い立場であるお客さんを保護するという観点から、宅建業法には特別な 8種類の規制が設けられています。これが 8種制限になります。
1-2. 8種制限が適用される場面
では、どのような場面で8種制限が適用されるのでしょうか。全ての取引に適用されるわけではありません。
8種制限は、宅建業者が売主、かつ、買主が宅建業者以外のお客さんの場合の取引に適用されます。売主が宅建業者でも、買主が宅建業者であった場合に、その取引には適用されません。
2. 8種制限の内容
2-1. 損害賠償額の予定等の制限
8種制限の一つである「損害賠償額の予定等の制限」について、宅建業法で下記の通り規定されています。
宅地建物取引業法
出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「宅地建物取引業法」(出典元)
(損害賠償額の予定等の制限)
第三十八条宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
2前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
宅建業者が自ら売主となる場合に、損害賠償額と違約金との合算額は、売買代金額の 2/10を超える定めをしてはならないということです。
さらに、この規定に反して 2/10を超える金額を定めた場合は、超える部分が無効となるとしています。
例えば、2,000万円の代金額の場合に、500万円と損害賠償額の予定を契約に定めた場合を考えます。2,000万円の 2/10となる 400万円を超える 100万円の部分が無効となります。
ここで注意が必要なのは、2/10を超える全ての金額が無効となるのではなく、2/10を超える部分についてのみ無効となるということです。
2-2. 手付の額の制限等
「手付の額の制限等」については、宅建業法で下記の通り規定されています。
宅地建物取引業法
出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「宅地建物取引業法」(出典元)
(手付の額の制限等)
第三十九条宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
2宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
3前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
まず、手付金の額は、代金額の 2/10を超えてはならないということです。
次に、解約手付に関してです。宅建業者が手付を受領した場合、次の条件により契約の解除ができます。買主が契約を解除する場合は、その手付を放棄すること。売主が契約を解除する場合は、受領した手付の倍額を買主に提供すること。ただし、買主、売主のどちらが解除する場合でも相手方が契約の履行に着手した後は、契約の解除ができません。
そして、前述の解約手付の規定に反する特約を結んだとしても、買主に不利となる特約は無効となります。
3. まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
宅建業者が売主となる場合の 8種制限のうち 2種類を紹介しました。これらの内容は、条文通りシンプルな内容だと思いますので、理解できないということはないかと思います。
ただし、油断は禁物だと思います。記事の中で黄色く網掛けした部分は注意したいポイントとなりますので、押さえておくとよいと思います。