宅建試験の計算問題は捨ててよい?また、電卓は使用できるのか?

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宅建試験には計算問題が毎年ほぼ1問出題されます。この計算問題は難しそうだし、1問だけだから捨ててもいいよねという声が聞こえてきそうです。果たして本当に捨ててよいのでしょうか。

計算問題を捨ててよいのか(勉強しなくてよいのか)や、計算問題のポイントなどを紹介したいと思います。電卓が使用できるのかについても触れていますので、宅建試験の計算問題について知りたいという方は参考にしてみてください。

1. 宅建試験の計算問題

1-1. 出題される計算問題

宅建試験では、計算問題が毎年ほぼ1問出題されます。内容は、報酬額の計算になります。そうなんです、計算問題といっても報酬額の計算と決まっているのです。

この報酬額の計算は、「宅建業法」の分野での出題になります。報酬の限度額は、「国土交通省告示」で定められています。その告示での制限の内容と計算式を頭に入れておく必要があります。

1-2. 試験で電卓は使用できるのか

「計算問題なんだから、電卓ぐらい使わせてくれるでしょう」と思われる方もいるかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか。その答えは、「(一財)不動産適正取引推進機構」のサイトのFAQにて、記載されています。下記をご覧ください。

宅建試験のFAQ

Q4 試験当日
 Q4-1 試験当日の注意事項は?
(3) 試験に関する全般的な注意事項は、(13)のとおりです。特に重要な事項は、次の1)~3)のとおりです。

1) …
2) …
3) 書籍・電卓等の計算機類について、試験時間中は机上に置くこと及びその使用を禁止します。

出典:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「宅建試験のFAQ」(出典元

1)、2)は割愛しております。また、「電卓」の記載について、私の方で黄色に網掛けをしました。

見てお分かりの通り、電卓の使用は禁止されております。また、机上に置いておくと不正行為とみなされますので、注意しましょう。

1-3. 計算問題は捨てるべきか

電卓が使えないなら、1問だけ出題される計算問題は捨ててもいいのではと考えますでしょうか。それは、間違いだと思います。冒頭でも述べたように、計算問題は「宅建業法」の分野での出題となります。つまり、合格のためには得点源とする必要がある分野からの出題になります。ポイントさえ押さえればそこまで難易度が高いわけではありませんので、計算問題をマスターすることをおすすめします。

「宅建業法」を得点源とする分野と紹介しましたが、宅建試験の各分野における得点目標を知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。「2-2. 宅建業法」の中で紹介しています。

2. 計算問題のポイント

2-1. 計算問題を解く前提

次の2つについて理解することを前提として、計算問題に対応する必要があります。最低限この2つは理解しておく必要があります。

  • 報酬に関する宅建業法の規定
  • 報酬計算の基本となる計算式(速算法)

報酬に関する宅建業法の規定

宅建業法にて、「報酬」に関して規定されています。

宅地建物取引業法

(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「宅地建物取引業法」(出典元

「国土交通省告示」で定められている報酬の限度額についてのポイントは下記の通りです。

(1)売買・交換の場合の報酬限度額
①媒介
 依頼者の一方から受け取れる額は、X(次の計算式の箇所にて解説)
②代理
 依頼者から受け取れる額は、2X(上記媒介の2倍の額)
③代理と媒介
 合計で2X

(2)貸借の場合の報酬限度額
①原則
 賃料の1ヶ月分が上限
 ただし、居住用建物の媒介の場合、依頼者の承諾がない限り、依頼者の一方からは1/2ヶ月が限度となる
②例外
 権利金を物件価格とみなして上記(1)の方法で計算できる(居住用建物以外)

(3)複数業者が関わる場合の報酬限度額
 ・各業者が受領できる限度額内
 ・総額は、全業者を1人とみなして受領できる限度額内

報酬計算の基本となる計算式(速算法)

上記(1)①で媒介の場合に依頼者の一方から受け取れる額は、Xとしました。この報酬限度額についての計算式(速算法)は、下記の通りです。

  • 物件価格200万円以下
    ⇒ X = 物件価格 × 5%
  • 物件価格200万円を超え400万円以下
    ⇒ X = 物件価格 × 4% + 2万円
  • 物件価格400万円を超える
    ⇒ X = 物件価格 × 3% + 6万円

この物件価格は、消費税を含まない額ですので注意が必要です。

こちらの計算式は計算問題を解く上では基本となりますので、覚えるようにしましょう。

2-2. 計算問題を解く

具体的に上記の計算式を使って計算してみます。

例えば、消費税の課税事業者である宅建業者Zが、売主Aさんが所有する物件価格 3,000万円(税抜)の建物の媒介依頼を受けて、売買契約を成立させた場合を考えてみます。

物件価格が400万円を超えていますので、「物件価格 × 3% + 6万円」の式に当てはめて計算します。

3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円

これに消費税10%を上乗せして、105万6,000円が宅建業者Zの受領できる報酬の上限額となります。

2-3. 計算問題の注意点

報酬額の計算において、前述した「国土交通省告示」で定められているポイントを押さえ、計算式(速算法)を用いて計算することで計算問題を解くことができます。

また、計算問題を解く上では、問題文を整理することが重要です。問題では、複数の宅建業者が登場したり、複数の依頼者が登場したり、宅建業者が消費税課税事業者であったり、といくつか罠をしかけてきます。そちらに対処するために、「国土交通省告示」で定められているポイントを頭に入れておく必要があります。

3. まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。
宅建試験で出題される「計算問題」について解説しました。「宅建業法」分野からの出題となりますので、しっかり得点する必要があります。

紹介した「計算問題を解く前提」を押さえることが重要です。計算問題を解く上では、基本となりますので、最低限理解しておくとよいでしょう。また、「低廉な空家等の報酬の特例」などもありますので、基本をマスターした上で勉強されるのがよいと思います。

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