

こんにちは、mr-chickenです。
宅建業法では、契約不適合責任の特約について、買主に不利な特約は無効と規定されています。ただ、この例外にあたる規定もあります。
その例外についても併せて解説します。問題解法時のポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 8種制限の概要
1-1. 8種制限って何?
宅建業法に規定されている 8種制限がどのようなものか知っていますか。宅建業法の勉強が進んでいる方は、当然の内容かもしれません。念のため、おさらいを兼ねて紹介します。
8種制限が登場するのは、売買契約の際に売主が宅建業者で、買主が一般のお客さんだった場合の話になります。取引のプロである宅建業者と取引の素人であるお客さんとでは、宅建業者に有利な契約となる可能性があります。そのように弱い立場であるお客さんを保護するという観点から、宅建業法には特別な 8種類の規制が設けられています。これが 8種制限になります。
1-2. 8種制限が適用される場面
では、どのような場面で8種制限が適用されるのでしょうか。全ての取引に適用されるわけではありません。
8種制限は、宅建業者が売主、かつ、買主が宅建業者以外のお客さんの場合の取引に適用されます。売主が宅建業者でも、買主が宅建業者であった場合に、その取引には適用されません。
2. 契約不適合責任とは?
2-1. 契約不適合責任の概要
契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、売主は、買主に対し、責任を負うというものです。どのような責任かというと、買主は、売主に対して、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができるという内容です。
ここで注意が必要なのは、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除を行うことができないということです。
3. 契約不適合責任の特約の原則と例外
3-1. 契約不適合責任の特約の原則
契約不適合責任の特約に関して、宅建業法にて下記の通り定められています。
宅地建物取引業法
(担保責任についての特約の制限)
出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「宅地建物取引業法」(出典元)
第四十条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
買主に不利となる特約は、無効と定められています。その場合は、民法の規定が適用されることに注意してください。
3-2. 契約不適合責任の特約の例外
先ほど紹介した宅建業法の四十条にて、通知期間についての例外が規定されています。「民法第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き」という箇所になります。
これは、契約不適合責任の通知すべき期間についての例外となります。民法では、契約不適合の責任を負う期間について、「買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しなければ、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除ができない」と定められています。
宅建業法では、その例外として、「売主が買主に目的物を引渡した日から二年以上という期間を通知期間として定めることができる」と規定されています。
この通知期間について、二年以上と期間が長くなっていますが、開始時期が「不適合を知った時」から「目的物を引渡した日」と買主に不利となっているのです。このような特約は例外として有効ということです。
この「通知期間」に関して、問題を解くときのポイントは、
引渡しの日から
二年以上
と二つの定義が合致しているかどうかを判断することです。
さらに、通知期間が無効であった場合は、民法の規定が適用されるということを忘れないでください。
つまり、「引渡しの日から二年以上の通知期間を設けていない契約は無効」ということになります。その際は、民法の規定が適用され、「買主がその不適合を知った時から一年以内の通知期間」が適用されますので、注意してください。
4. まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
契約不適合責任の特約に関する制限についての内容を紹介しました。宅建業法で定められている「通知期間の例外」について、問題を解くときは、規定されている定義に合致しているかどうかを冷静に判断することが重要です。合致しない時は、その特約は無効となりますが、その際は民法の規定が適用されるというところまで意識して問題を解くことが重要です。